二〇二三年一〇月一九日(木)
召使の休日
召使は王様に使えていた
王様は何もできなかった
何もできないくせに威張り散らしていた
できることと言えば
選んでもらった服を最後自分で選ぶだけ
しかも最後の最後はどっちが良い? と
召使に確認をした
召使はその時、自分が鏡に思えた
出かける際は召使が馬車を走らせた
食事の用意もした
王様がするのは食べることだけ
片付けも召使が当然のようにやった
眠る前に王様にお話も聞かせた
眠る場所は部屋の隅っこだった
召使はそれらが嫌ではなかった
王様は王様の仕事をしているだけだから
召使は召使として召使った
ある時気まぐれに王様が言った
召使に休日をやろう
召使は戸惑った
自分のしたいことなんて
これまで考えたことがなかった
とりあえず召使はテラスに出て
煙草を吸った
ぼんやりと空を見た
早く王様に命令されたかった
二〇二三年一〇月一九日(木)
鰻会。ヨーロッパ企画の舞台を観に本多劇場へ。ヨーロッパ企画ってほんとに良い劇団だ。終演後、出演者たちと面会ができて、その時の飾らない感じも好きだ。安心する。こういう人たちが人類を滅亡から救ってるって本気で思う。内容に引っ張られて、どうしても串カツが食べたくなったが時間が早くて、とりあえず開いてた珉亭へ。赤いチャーハンとか、野菜炒めとかを突きながら感想を言い合う。観劇って、この全体の流れが良いんじゃないかと、しみじみ思う。二十代の頃は毎日のように直太朗とやってたやつだ。何か見て話して、それを経てまた何か見る。そうやって自分一人では経験し切れないことを積み上げていく。で、昨日とは違う何かを体得していく。気力と体力が続く限り続けたい。それできなくなったら、植物の境地。その時の詩に興味はある。
鰻会。ヨーロッパ企画の舞台を観に本多劇場へ。ヨーロッパ企画ってほんとに良い劇団だ。終演後、出演者たちと面会ができて、その時の飾らない感じも好きだ。安心する。こういう人たちが人類を滅亡から救ってるって本気で思う。内容に引っ張られて、どうしても串カツが食べたくなったが時間が早くて、とりあえず開いてた珉亭へ。赤いチャーハンとか、野菜炒めとかを突きながら感想を言い合う。観劇って、この全体の流れが良いんじゃないかと、しみじみ思う。二十代の頃は毎日のように直太朗とやってたやつだ。何か見て話して、それを経てまた何か見る。そうやって自分一人では経験し切れないことを積み上げていく。で、昨日とは違う何かを体得していく。気力と体力が続く限り続けたい。それできなくなったら、植物の境地。その時の詩に興味はある。
1977年東京生まれ 詩人。