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詩

メッシが伝説になった次の日

メッシが伝説になった次の日

体調を壊して学校を休んだ

俺は特に予定がなかったから

一日中一緒にいることにした

がいると家で仕事ができないと妻が言うから

会社の仕事場を貸してあげることにした

別れ際、娘が退屈しないように

図書館に言って欲しいと妻に頼まれた

そんなこんなで図書館へ向かう踏切待ち

カンカンカンが耳を突くと俺は

伝説から一夜明けたメッシが心配になって

何かを語る娘の背中越しに

このことを詩にしようと思った

辿り着いた図書館は休みで

乾いた青空は真空で

娘はもうほとんど元気になっていて

何して遊ぶ? とか言い出した

先日息子を寝かしつけしながら思った

親が子を守るように

親は子に守られている

親子の熊が丸まって眠っているイラスト

だけどそれはメッシが伝説になる前の出来事

 

メッシが伝説になった次の日

会社に携帯を忘れていることに気づいて

お昼頃、また娘と仕事場に向かった

着くとミズキが飼ったばかりの犬を連れてきていて

興奮する娘が散歩をさせたいと言うから

娘とミズキの仔犬と散歩に出掛けた

ミズキの仔犬はまだ本当に小さくて

目に映るすべてが興味の対象になって

散歩なのに全然前に進まなかった

しばらくしたらミズキが迎えに来て

草むらに頭を埋めて動かなくなったミズキの仔犬は

連れて行かれてしまった

散歩としては失敗に終わったその数分間が

メッシが伝説になった次の日

たちのハイライトだった

娘は家に帰ってからも

犬が飼いたいとずっとゴネいた

 

メッシが伝説になった次の日

久々に俺が夕飯を作ることになった

締め切りに追われて妻がテンパってたことと

これからできるだけ料理をしようと

数日前にちょうど思っていたこと

料理をするときは料理をするだけ

そこで完結するユニバースに

じっくりした時間が必要とばかりに

バターチキンカレーをスパイスった

台所が狭いと言う理由で

こないだの引越しで捨てられたスパイスの中から

ガラムマサラとターメリック

それとサフランとパセリだけを買い直して

あと家にあるトマト缶と調味料で

なんとかなるだろうと鷹を括ったわけじゃなく

大きめのチキンとタマネギとニンジン

それらを煮てしばらくしたら西原家がやってきて

せっかくだからとお裾分けした

できの悪いバターチキンカレー

もし俺がご近所だったなら

メッシにも味わってもらいたかった

奥行きのないバターチキンカレー

 

メッシが伝説になった次の日

家族の寝静まったベランダでタバコを吸っていた

冬になるとギイギイ軋むベランダの扉

夜中に聞くと地獄の門が開くかのよう

だけどそのベランダが今俺の世界の中心で

ちょうどメッシが口付けをした

ワールドカップの地球の位置と同じらへん

ちなみにこの詩はメッシが伝説になった日から

一週間後のクリスマスの夜に書かれている

メッシは今頃アルゼンチンにいるのだろう

伝説になった次の次の次の次の次の次の日の

クリスマスをきっと子供たちと過ごしている

俺はどうしても今夜詩を書きたいと言って

涙ながらに止める娘と息子を振り切って家をでた

なぜならここ数日ずっと子供たちと過ごしたから

諦めるのは簡単なのに

感傷の先に光はなかった

これまで出会った全ての仲間と

これからも出会わな全ての仲間と

秋の露天の温泉に浸かるような

生ぬるい湯船に大きな枯れ葉が落ちてきて

誰からともなく掬い上げたなら

ゆっくり落ちる滴の一つ一つに

訪れたことのない街角の笑い声を聞くだろう

 

メッシが伝説になった次の日

体調を壊して学校を休んだ

メッシが伝説になった次の日

ムバッペは昼過ぎまで眠った

メッシが伝説になった次の日

妻は締め切りに追われていた

メッシが伝説になった次の日

モドリッチは二週間ぶりに髭を剃った

メッシが伝説になった次の日

ミズキは飼ったばかりの仔犬を連れてきた

メッシが伝説になった次の日

ネイマールは仲間たちと飲み明かした

メッシが伝説になった次の日

西原家はバターチキンカレーを食べた

メッシが伝説になった次の日に見た

開かない踏切の向こうに背番号10の小さな背中

カンプノウでのハットトリックや伝説の五人抜き

そしてデビュー間もない頃のあどけない笑顔

踏切のカンカンカンと電車の轟音が歓声に変わり

歓声はやがて街の雑踏に溶けてく

ぼんやりとした輝き

浮遊する情動

繋がりというフィールド

あなたの中のわたし

振り返る娘の視線に俺は答えた

何して遊ぼうか?

二〇二二年一二月三一日(土)

メッシが伝説になった次の日

メッシが伝説になった次の日

体調を壊して学校を休んだ

俺は特に予定がなかったから

一日中一緒にいることにした

がいると家で仕事ができないと妻が言うから

会社の仕事場を貸してあげることにした

別れ際、娘が退屈しないように

図書館に言って欲しいと妻に頼まれた

そんなこんなで図書館へ向かう踏切待ち

カンカンカンが耳を突くと俺は

伝説から一夜明けたメッシが心配になって

何かを語る娘の背中越しに

このことを詩にしようと思った

辿り着いた図書館は休みで

乾いた青空は真空で

娘はもうほとんど元気になっていて

何して遊ぶ? とか言い出した

先日息子を寝かしつけしながら思った

親が子を守るように

親は子に守られている

親子の熊が丸まって眠っているイラスト

だけどそれはメッシが伝説になる前の出来事

 

メッシが伝説になった次の日

会社に携帯を忘れていることに気づいて

お昼頃、また娘と仕事場に向かった

着くとミズキが飼ったばかりの犬を連れてきていて

興奮する娘が散歩をさせたいと言うから

娘とミズキの仔犬と散歩に出掛けた

ミズキの仔犬はまだ本当に小さくて

目に映るすべてが興味の対象になって

散歩なのに全然前に進まなかった

しばらくしたらミズキが迎えに来て

草むらに頭を埋めて動かなくなったミズキの仔犬は

連れて行かれてしまった

散歩としては失敗に終わったその数分間が

メッシが伝説になった次の日

たちのハイライトだった

娘は家に帰ってからも

犬が飼いたいとずっとゴネいた

 

メッシが伝説になった次の日

久々に俺が夕飯を作ることになった

締め切りに追われて妻がテンパってたことと

これからできるだけ料理をしようと

数日前にちょうど思っていたこと

料理をするときは料理をするだけ

そこで完結するユニバースに

じっくりした時間が必要とばかりに

バターチキンカレーをスパイスった

台所が狭いと言う理由で

こないだの引越しで捨てられたスパイスの中から

ガラムマサラとターメリック

それとサフランとパセリだけを買い直して

あと家にあるトマト缶と調味料で

なんとかなるだろうと鷹を括ったわけじゃなく

大きめのチキンとタマネギとニンジン

それらを煮てしばらくしたら西原家がやってきて

せっかくだからとお裾分けした

できの悪いバターチキンカレー

もし俺がご近所だったなら

メッシにも味わってもらいたかった

奥行きのないバターチキンカレー

 

メッシが伝説になった次の日

家族の寝静まったベランダでタバコを吸っていた

冬になるとギイギイ軋むベランダの扉

夜中に聞くと地獄の門が開くかのよう

だけどそのベランダが今俺の世界の中心で

ちょうどメッシが口付けをした

ワールドカップの地球の位置と同じらへん

ちなみにこの詩はメッシが伝説になった日から

一週間後のクリスマスの夜に書かれている

メッシは今頃アルゼンチンにいるのだろう

伝説になった次の次の次の次の次の次の日の

クリスマスをきっと子供たちと過ごしている

俺はどうしても今夜詩を書きたいと言って

涙ながらに止める娘と息子を振り切って家をでた

なぜならここ数日ずっと子供たちと過ごしたから

諦めるのは簡単なのに

感傷の先に光はなかった

これまで出会った全ての仲間と

これからも出会わな全ての仲間と

秋の露天の温泉に浸かるような

生ぬるい湯船に大きな枯れ葉が落ちてきて

誰からともなく掬い上げたなら

ゆっくり落ちる滴の一つ一つに

訪れたことのない街角の笑い声を聞くだろう

 

メッシが伝説になった次の日

体調を壊して学校を休んだ

メッシが伝説になった次の日

ムバッペは昼過ぎまで眠った

メッシが伝説になった次の日

妻は締め切りに追われていた

メッシが伝説になった次の日

モドリッチは二週間ぶりに髭を剃った

メッシが伝説になった次の日

ミズキは飼ったばかりの仔犬を連れてきた

メッシが伝説になった次の日

ネイマールは仲間たちと飲み明かした

メッシが伝説になった次の日

西原家はバターチキンカレーを食べた

メッシが伝説になった次の日に見た

開かない踏切の向こうに背番号10の小さな背中

カンプノウでのハットトリックや伝説の五人抜き

そしてデビュー間もない頃のあどけない笑顔

踏切のカンカンカンと電車の轟音が歓声に変わり

歓声はやがて街の雑踏に溶けてく

ぼんやりとした輝き

浮遊する情動

繋がりというフィールド

あなたの中のわたし

振り返る娘の視線に俺は答えた

何して遊ぼうか?

二〇二二年一二月三一日(土)

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御徒町凧 
おかちまちかいと

1977年東京生まれ 詩人。

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