私たちは千羽鶴を折っているのではない
千羽の鶴を折っているのだ
そんなことも分からずに
あなたの手油は千代紙に吸い取られていく
私たちは日に三度食事を摂るのではない
日に三度腹が減るのだ
当たり前のように
潮の満ち引きは繰り返されている
詩人が詩を詠むのではない
詩を詠んだものが詩人なのだ
咲いては散る桜の花に
何の詩想も抱かぬものなどいないのだ
私たちはいつか死ぬのでない
今、生きているのだ
千羽の鶴の折り目には
そのことが刻まれているだけなのだ