何年ぶりかに開いた詩集の一ページに
胡麻粒にも満たないような一匹の虫がいて
俺は咄嗟にそれを指で潰した
もしもこの虫に飼い主がいたら
俺はぶん殴られるか訴えられるかして
この後に行くフットサルの予定なんか
もうそれどころじゃなくなるんだろう
この詩を書き上げるまでに一旦席を立ち
小便をしたことを告白するべきなのか
左手の中指で擦り付けるように殺したことと同様に
一冊の詩集に
運命を翻弄された一人と一匹
俺に残されたこの先の生命に
胡麻粒にも満たない虫の魂が見え隠れしている