蟻の列が遮っていて
玄関で足止めされた
群れから外れた一匹が
断崖に消えるコンクリートにたじろいで
少し狼狽た後、列に戻った
私は彼をアーリーと名付けたが
アーリーは程なくして
群衆に消えた
あの断崖の先には
ブロックの駐車場があって
その向こうには
アスファルトの荒野
少し行けば駅前の海原が開ている
アーリー君は恐らく
そこでは生きられなかっただろう
列に戻ったお前を笑う奴はいたかい
何が正しいかなんてことじゃなく
君は私にとって特別な存在だった