真夜中私の中の中也が起きだして
汚れちまった悲しみがどうのと騒ぎ立てる
私は渋々便器に跨がり
なぜ生きているのかを、と
新体操のリボンのようにヒラヒラさせる
新しくできたマーケットの惣菜にまぎれ
私の中の賢治がカプカプ笑ってる
脂ぎった掻き揚げをトングでつまみ
妻の不在を確かめる
手つかずの閃きは硬い地面に遮られ
煙たい雀荘の全自動卓の内部から
私の中の哲也がグースカ鼾を立てている
テメエのアガリばかり考えてんじゃねぇと
匿った安全牌がひんやりしてる
パイパンはまるで生者達へのアイロニー