御徒町凧 OFFICIAL SITE

御徒町凧 OFFICIAL SITE

詩

一本の木

一本の木がある

美大生は遠巻きにデッサンをしている

つがいのシジュウカラは梢で羽を休めている

植物学者はしげしげと木肌を見つめている

シマリスの親子は形の良い洞を探している

バックパッカーは幹に保たれて眠っている

イチモンジセセリは迂回して通り過ぎる

開拓者は土地分配の目印にしようと話している

一本の木は全てを眺めている

できるだけたくさん陽を浴びて

どこまでも広く根を伸ばしている

時折吹き抜ける風がさわさわと何かを揺らす

一本の木は

他人事のようにその音に耳を傾けている

二〇一九年一二月〇六日(金)

一本の木

一本の木がある

美大生は遠巻きにデッサンをしている

つがいのシジュウカラは梢で羽を休めている

植物学者はしげしげと木肌を見つめている

シマリスの親子は形の良い洞を探している

バックパッカーは幹に保たれて眠っている

イチモンジセセリは迂回して通り過ぎる

開拓者は土地分配の目印にしようと話している

一本の木は全てを眺めている

できるだけたくさん陽を浴びて

どこまでも広く根を伸ばしている

時折吹き抜ける風がさわさわと何かを揺らす

一本の木は

他人事のようにその音に耳を傾けている

二〇一九年一二月〇六日(金)

アーカイブ