君は誰 誰は君
墓場で踊る花
薄暗い空にアプローチした
目に映らないパラシュート
生きたまま捌かれる魚
最後の煙草に火をつけて
飲みかけの缶珈琲が曲がる
柔らかい巻き毛の幼女
抱きしめたつもりが取り残された
昨日のコウロギが
養殖されたアロワナに喰われて
薄くなった酸素の水中で
鼻を上げて走る
土埃の舞うグラウンド
ネクタイの仕方を忘れた
熱くなったフライパンの上
それはまるで
新しいダンスのように身悶えている
死は語られることなく
生は謳われることなく
とめどなく流れ出す山火事の煙に巻かれて
真夜中のトラックに配送された
卒業式の黒板
I am a friend.
血の通うアンドロイド
緞帳の内側で抱きしめ合った
顔の黒いもう一人の自分
使い古されたノートに
覚えたての言葉が
ガンバレとエールを送る
ケミカルに着色された孤高の英雄
時間の外側で
すべてが一つになる
余白に吹いた
乾かない羽衣は忘れられ
抜け落ちた栗色の枝毛
グッドナイト
積み上げた座布団が
自重で崩れ落ちそうだ