あの光が差している
僕の足先の遥かなる場所に
あの光が差している
コックを捻ればお湯が出るだろう
クスリを塗れば効能があるだろう
メガネを掛ければよく見えるだろう
そんな時、悲しいと言ってはならない
それは人間の尊厳であり
それゆえ我々は
テールスープを美味しく食べたのだから
追いかけてはならないと言ってはならない
あの光の向こうに意識を遣ってはならない
嗚呼 ぼくは北海道で
笑いの中にある粒を奥歯で潰して
口臭がしなくなるように奥歯で潰して
苦い顔を見せないようにしている
夜、枕の周りの小人をボールペンで殺した
小人の血は赤いのに
ぼくの網膜は緑色に染まった
あの光は束の間にあった
あの光は束の間であった
あの光に束の間出会った
鏡の中の鏡の中で
クリームシチューがそろそろ煮えている
クリームシチューがそろそろと煮えている