これまで書き損じた言葉が
まとめて一つの光となって
薄暗い夜の向こうに灯る
救急車のサイレンに目を細め
徐に君は立ち上がる
煤で汚れたウッドデッキ
年齢を尋ねられれば
力なく微笑んだだろう
小さな舟に手ぶらで乗り込めば
そこからはなんだって見通すことができた
言い争っているようで表情を気にしている
頼りない櫂でもないよりはましさ
今際の際に君は悟るだろう
あれは君自身の鼻歌だった