そこは人のいない真っ暗な宇宙だった。人のいない宇宙ということを考えている者もいない、暗闇。
本当のことを言うと、それが宇宙なのかどうかも分からない。
宇宙という言葉が一番しっくりくるだけのことだ。
暗闇の向こうに光が射している。
光によって暗闇は本当の暗闇となった。
その光の方向からうっすらと音が聞こえる。
鈍く低い音が「ゴロンゴロン」と繰り返されている。
しばらくすると音は無くなった。
無くなったのか聞こえなくなったのか、その違いさえ定かではなかった。
宇宙に感情はない。
ひっそりとした孤独があるだけだった。
孤独に色をつける必要があるのだろうか。
必要を求める必要があるのだろうか。
あるということがあるのだろうか。
暗闇の先に視線を感じる。
それは、何もかもを吸い込んでしまう仄かな気配だった。