二〇一八年一二月二八日(金)
1
今日三度目の風呂に入った
十四時過ぎに眠たくなって
ソファに寝転んで目を閉じた
クロッカスという言葉が
詩と一緒に浮かんで
起き上がり書き留めた
俺はその時死んでいた
そのあと少し眠り
夢の続きを生きる
鐘の音は聞こえなかった
2
肩に黒猫を抱いた
顔のない女
昔話というタブーを犯し
冷えたビールの
送られてきた詩集のコースター
一歩後ろから
いつも付いてくる俺の同胞
クリスマスオブザデッド
黄色いスカイラインが
坂の上から滑り降りてくる
3
もし雪を知らなかったら
こんなものかと吹き飛ばしただろう
信濃川沿いを
重たくなった体で走った
いくつもの道筋が
俺の歩幅を調整する
制服を膨らました浅黒い男が二人
足元に気をつけろと
光る棒を振っている
鉛色にさざめく水面
携帯電話がなくてよかった
4
凍えそうな夜ならば
愛なんだと叫ぶ
もしくはカムチャッカ
責任という
文字も響きも嫌いで
ピスタチオばかり剥いていた
もうそろそろ
新しい地図が広がる
突き出した一本の指に
止まるのはせいぜい
トンボか間抜けなアメリカ人
手の出ない牽制球は
デッドボールよりもタチが悪い
二〇一八年一二月二八日(金)