ルービックキューブのそれぞれの面に散らばった色が
部屋の片隅でこの世の行く末を憂いている
暦の上では今日がクリスマスだということだが
薄桃色の夕暮れにはなにも記されていない
駅前はそれなりに慌ただしく
素っ頓狂なBGMが通行人のイヤフォンから溢れてくる
去年札幌で買った手袋がダウンのポケットにあって
冷たくなった指先を慰めるように柔らかい
日記でも書くように詩をスケッチブックに探してみると
無表情に並べられた日々の営みが
区切られた時制からあらゆる言葉を遠ざけてしまう
目に見えないものを信じる必要なんてそもそもなかったのだ
「分からない」と言いかけて再び訪れる沈黙
しばらく閉じてあった本をどうして今手に取ったのだろう