音楽を聴くときは座っているもの
ソファにしばしのときはながれる
作り立てのパンが焼ける匂いをし
いそいそ向かう背中に音を感じる
音楽を聴くときは座っているもの
窓の外に外人の子供の声が聞こえ
ここが島国である奇跡をカミシメ
音に国籍はないのだとシラシメル
三段論法で生きる意味を定めては
滔々と語るファイナンシャル誰某
だったらインベイダーの方が近親
小さな生き物への眼差しと慈しみ
帽子を脱いだと同時にズラが剥げ
ツイートする間もなく情緒は逃げ
ランブリンジャックに教えを乞う
いななく馬の鬣それはソウマトウ
グッドなモーニングのゆで卵添え
濁点で済ます退屈な日々の味付け
味の素の出番なんざどこにもねえ
そろそろ始まる新しいモノガタリ
生き物の係だなんて大仰不遜蒙昧
伸びきったパンツのゴムでブラリ
垂れ下がる天井に見覚えのない梁
かわいいお目目のスズメが巣食う
だが誰もお前を救っちゃくれない
紅に染まる命をオブラートで飲み
詰まった喉に流し込む湯気の緑茶
朝食は和でも洋でもご機嫌であれ
音楽を聴くときは座っているもの
父も母も教えてはくれずましてや
教科書にもたぶんどこにもないが
それくらいお日様を見れば分かる
書きかけの言葉の裏にダニの仲間
血を吸うよりも言葉を知りたいと
音もなくこぼれた涙が今朝の旋律