早く起きた娘を抱いて
クロワッサンを買いに家を出たら
思っていたよりも帰宅が遅くなり
妻はもう出かけていた
パンを食べたり午前中を過ごしていると
妻から電話があり曜日を間違えたと言い
慌ただしく帰ってきた妻は雨に濡れていた
早く起きた娘はお昼頃にまた眠るので
それまでの時間私は娘と遊んでいた
一歳の娘と間もなく四十になる私とでは
時間の密度は違えども
今日はどちらにとっても
やがて忘れられる一日なのだろう
と言い聞かせるように私はそこにいる
せめてと娘の姿を焼きつけようとするが
そのことさえも日常の中に紛れ込んでしまう
雨に濡れた妻が
その時なにをしていたのかさえ
もうこの詩の中に存在していない