重たい鉄の扉が
少しだけずれていて
隙間から光が射している
天井付近から眺める私の背後には
何の気配もなく
おびただしい量の汗が床へと落ちている
外から聴こえる声
それは鳥の形を思わせた
強く目を閉じても光が感じられるので
私は孤独ではなかった
夕べ食べたキャベツのスープが
お腹の中で凪いでいて
揺れる舟の舳先で
寄せ集めの絵の具で絵を描いていた
ピカソ〜ダリ〜ミロ〜
地下鉄を乗り継いでうつらうつらしていたら
ポケットから財布が抜き取られていた
嗚呼
瞳を合わせたまま
腹を引き裂かれる気分
冷えたパエリアとビールで
コロンブスの指差す方向へやった鼻歌
手の平ばかりの大地の上で
奪い合うようにステップを踏んでいる
首を寝違えた案山子の同胞