鉢植えのオリーブが揺れる
風の中で
つけっぱなしのテレビが
遠い北海道の天気を告げる
まだ柔らかい言葉が
ストローから泡となる
記憶の中のコアラが
木ごと燃えている
暗くなった手元は明るくなるのに
電球の仕組みを君は知らない
郵便ポストが空を飛んでいる
アスファルトが雨上がりに輝く
温かい水を頭から浴びて
借り物の体をまじまじと見つめる
掴めそうで掴めない
感情と呼ばれる草の芽
ありがとう 雑踏で耳にした音に
時計の針を少し進める