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詩

夢を持てと言われることが

夢を持てと言われることがそもそも嫌いなのではないのだけれど、やはりものすごく抵抗があるとガシュットントはのんべんとした空を視界にいれながらどうして考えてしまっているのかを考えていた。
それもまたありきたりの発想かもしれないが、夢なんてなくても充実した人生を送れるではないかとガシュットントは思っていた。
今朝方、ニックタックやパトムたちが将来のことを(半分以上は勢いにまかせて言っているだけではあったが)語り合っていたのを横耳に聴いてしまったことが、ガシュットントの思考をここに導いたのだろう。

帰り道、ガシュットントは一人で歩いていた。
セルマネロに一緒に帰らないかと誘われたのだが「寄るところがあるから」と言い、みんなより先に教室から抜け出したのだった。
ガシュットントは入ってはいけないと言われている山道のことが一日中気になっていた。なにかその先に、自分の胸の中をくすぐる違和感みたいなものを解決するコトがあるような気がして。

暮れかかる夕焼けに大量の雲が散らかっていて、空を無目的に眺めることが習慣のガシュットントにとって、その空がいつもより印象的に見えているのは単に心のせいなのか空そのものの特異性のせいなのか、ガシュットント自身には皆目検討がつかなかったが決して不心地ではなく、心臓を湿ったコットンでキュッと緩く締められるような感じがガシュットントの脳裏によぎった。

二〇〇九年〇六月三〇日(火)

夢を持てと言われることが

夢を持てと言われることがそもそも嫌いなのではないのだけれど、やはりものすごく抵抗があるとガシュットントはのんべんとした空を視界にいれながらどうして考えてしまっているのかを考えていた。
それもまたありきたりの発想かもしれないが、夢なんてなくても充実した人生を送れるではないかとガシュットントは思っていた。
今朝方、ニックタックやパトムたちが将来のことを(半分以上は勢いにまかせて言っているだけではあったが)語り合っていたのを横耳に聴いてしまったことが、ガシュットントの思考をここに導いたのだろう。

帰り道、ガシュットントは一人で歩いていた。
セルマネロに一緒に帰らないかと誘われたのだが「寄るところがあるから」と言い、みんなより先に教室から抜け出したのだった。
ガシュットントは入ってはいけないと言われている山道のことが一日中気になっていた。なにかその先に、自分の胸の中をくすぐる違和感みたいなものを解決するコトがあるような気がして。

暮れかかる夕焼けに大量の雲が散らかっていて、空を無目的に眺めることが習慣のガシュットントにとって、その空がいつもより印象的に見えているのは単に心のせいなのか空そのものの特異性のせいなのか、ガシュットント自身には皆目検討がつかなかったが決して不心地ではなく、心臓を湿ったコットンでキュッと緩く締められるような感じがガシュットントの脳裏によぎった。

二〇〇九年〇六月三〇日(火)

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