まず先にスープが運ばれてきて
ブレンドとトーストは後回し
マスターの曲がった蝶タイが気にかけてる
もしかしたら今日は雪になるらしい
欲望は形を変えて物の手触りを無効化する
鉄の塊が空を覆うその下で酢橘を啄むメジロ
いつかの雨が濡らしたディレクターズチェア
思考から逃れるように四方を伺っている
珈琲豆の生存戦略
港に似合う音楽はなく
膝で取るリズムがズレているよ
ソウルにこびり付く吐き捨てられたチューインガム
木々のさざめきが喝采に聞こえる
駅のホームで看板を見ている
野良犬の気持ちが分かる
踏み出す足の順序さえ決まらないのに