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詩

どこまでもどこまでも

どこまでもどこまでも考えることをしていると、言葉が追いつかなくなるのはどうしてなのだろう。
景色も見続けているとそれが景色に見えなくなってきて、まるで絵画のなかにいるような気分になって、ぼくが見ているこの目の意味さえ分からなくなってくる。
絵画のなかの気分はとても厳しいもので、じっとしていることができなくなって、その衝動がいつもぼくをなにか新しい行動に駆り立てるということをきっと誰も知らなくて、そのことが少しだけぼくは後ろめたいのだけれど、なにに後ろめたいのかはよく分からない。

ぼくは怠惰な人間で、それが理由でたくさんの人を傷つけてきた気がする。
きっとガシュットントとの喧嘩もぼくの怠惰が原因で、その怠惰ゆえに、ぼくは喧嘩の理由を考えることさえしてこなかった。

階段を下りると、母さんがなにか言っていて、廊下のきしむ音と重なってその母さんの声がなにを言ってるのかよく聞き取れなかったけど、「おはよー」とだけぼくは答えて、そのまま廊下の突き当たりの戸を抜けて汲み置きの井戸水で顔を洗うと、まだ冬のような冷たさをピリリ感じた。

ゆっくり背伸びをすると、新鮮な空気が肺に入ってきて、山の木々が鮮やかに色を濃くした。

トリの鳴き声がきこえるけれど、トリの姿はぼくには見えなかった。

二〇〇九年〇三月一三日(金)

どこまでもどこまでも

どこまでもどこまでも考えることをしていると、言葉が追いつかなくなるのはどうしてなのだろう。
景色も見続けているとそれが景色に見えなくなってきて、まるで絵画のなかにいるような気分になって、ぼくが見ているこの目の意味さえ分からなくなってくる。
絵画のなかの気分はとても厳しいもので、じっとしていることができなくなって、その衝動がいつもぼくをなにか新しい行動に駆り立てるということをきっと誰も知らなくて、そのことが少しだけぼくは後ろめたいのだけれど、なにに後ろめたいのかはよく分からない。

ぼくは怠惰な人間で、それが理由でたくさんの人を傷つけてきた気がする。
きっとガシュットントとの喧嘩もぼくの怠惰が原因で、その怠惰ゆえに、ぼくは喧嘩の理由を考えることさえしてこなかった。

階段を下りると、母さんがなにか言っていて、廊下のきしむ音と重なってその母さんの声がなにを言ってるのかよく聞き取れなかったけど、「おはよー」とだけぼくは答えて、そのまま廊下の突き当たりの戸を抜けて汲み置きの井戸水で顔を洗うと、まだ冬のような冷たさをピリリ感じた。

ゆっくり背伸びをすると、新鮮な空気が肺に入ってきて、山の木々が鮮やかに色を濃くした。

トリの鳴き声がきこえるけれど、トリの姿はぼくには見えなかった。

二〇〇九年〇三月一三日(金)

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