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詩

タンポポ

コートジボワール大使館の横の空き地に


タンポポが咲いていて

そのまわりでシロツメクサが踊っていた

なにか挨拶をしようと思って息を吸ったら

ぼくの肺には穴が空いていた



子供の頃住んでいた団地の駐車場の

砂利の上にもタンポポが咲いていた

摘んで綿毛を飛ばした後の茎の先っぽの丸い所は

よく見ると綿毛の数だけぶつぶつになっていて

見ていると気持ち悪くなりそうで指で潰した



散歩をしているように見えるかもしれないけれど

ぼくは旅をしていた。駒場東大の敷地を越えて

古本屋もカレー屋も通り過ぎて

枯れない泉のオアシスを目指していた

だからスニーカーはいつだって砂まみれ



思い出が足に絡まってうまく歩けないようならば

記憶をすべてコインロッカーに預けてしまえばいい

小さな鍵は前を向いたままに後ろに放り投げ

鼻歌まじりで人ごみの中を進んで行く

シルクハットの中の無精卵が孵化したような気分で



タンポポを真横から見たってつまらないだろう

ぼくたちは決まりきった道の上にいるわけじゃない

十二色もあればどんな風景だって再現できるはず

左でも右でも君を抱きしめるのに都合なんてないから

カラスが騒がしい雑木林の中でもぼくはよく眠れた



今日も時間が過ぎてゆく

寝ている猫の鼻先をかすめながら

そういえば昔ほどタンポポを見なくなった

五月の優しい青空を見上げながら

半開きのぼくの口が何かを語りだそうとしてる

二〇一七年〇五月一四日(日)

タンポポ

コートジボワール大使館の横の空き地に


タンポポが咲いていて

そのまわりでシロツメクサが踊っていた

なにか挨拶をしようと思って息を吸ったら

ぼくの肺には穴が空いていた



子供の頃住んでいた団地の駐車場の

砂利の上にもタンポポが咲いていた

摘んで綿毛を飛ばした後の茎の先っぽの丸い所は

よく見ると綿毛の数だけぶつぶつになっていて

見ていると気持ち悪くなりそうで指で潰した



散歩をしているように見えるかもしれないけれど

ぼくは旅をしていた。駒場東大の敷地を越えて

古本屋もカレー屋も通り過ぎて

枯れない泉のオアシスを目指していた

だからスニーカーはいつだって砂まみれ



思い出が足に絡まってうまく歩けないようならば

記憶をすべてコインロッカーに預けてしまえばいい

小さな鍵は前を向いたままに後ろに放り投げ

鼻歌まじりで人ごみの中を進んで行く

シルクハットの中の無精卵が孵化したような気分で



タンポポを真横から見たってつまらないだろう

ぼくたちは決まりきった道の上にいるわけじゃない

十二色もあればどんな風景だって再現できるはず

左でも右でも君を抱きしめるのに都合なんてないから

カラスが騒がしい雑木林の中でもぼくはよく眠れた



今日も時間が過ぎてゆく

寝ている猫の鼻先をかすめながら

そういえば昔ほどタンポポを見なくなった

五月の優しい青空を見上げながら

半開きのぼくの口が何かを語りだそうとしてる

二〇一七年〇五月一四日(日)

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