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詩

教室の中から聞こえてくる

教室の中から聞こえてくる笑い声は、校庭を越えて、山道を抜けたけれど、川のせせらぎにまで届くことはなかった。
風が木々の葉を揺らし、トリやムシがその中で鳴いている。
聞こえなくなった教室の笑い声はトリやムシの声のなかに密かに忍び込んでいた。
そして今、教室には職員室で話を済ませたモーメルとメンペイムがちょうど着く頃だった。

ミロフロスクロ山のチマディンツェは人里離れた小屋で、干した草を縫い込んでカゴや着飾りを作っていた。
チマディンツェは一人で暮らしていたが、二匹のイヌーと片足のポマとトッケを三羽飼っていたから寂しいと思うことはなかったが、風の強い夜は好きではなかった。

チマディンツェは季節に三度、山を下りてカゴと着飾りを売り歩いた。けっして裕福ではなかったけど、チマディンツェは不幸せではなかった。
この辺りのほとんどの者がチマディンツェのことを「ミロフロスクロの山神様」と呼んでいて、それはチマディンツェが山の中で暮らすようになってからミロフロスクロ山を中心とした東地区での災害がいちじるしく減ったからで、みんなからの好意の表れであることは、木の上で木の実をかじるリスたちにでさえ感じられることだった。

二〇〇九年〇三月二六日(木)

教室の中から聞こえてくる

教室の中から聞こえてくる笑い声は、校庭を越えて、山道を抜けたけれど、川のせせらぎにまで届くことはなかった。
風が木々の葉を揺らし、トリやムシがその中で鳴いている。
聞こえなくなった教室の笑い声はトリやムシの声のなかに密かに忍び込んでいた。
そして今、教室には職員室で話を済ませたモーメルとメンペイムがちょうど着く頃だった。

ミロフロスクロ山のチマディンツェは人里離れた小屋で、干した草を縫い込んでカゴや着飾りを作っていた。
チマディンツェは一人で暮らしていたが、二匹のイヌーと片足のポマとトッケを三羽飼っていたから寂しいと思うことはなかったが、風の強い夜は好きではなかった。

チマディンツェは季節に三度、山を下りてカゴと着飾りを売り歩いた。けっして裕福ではなかったけど、チマディンツェは不幸せではなかった。
この辺りのほとんどの者がチマディンツェのことを「ミロフロスクロの山神様」と呼んでいて、それはチマディンツェが山の中で暮らすようになってからミロフロスクロ山を中心とした東地区での災害がいちじるしく減ったからで、みんなからの好意の表れであることは、木の上で木の実をかじるリスたちにでさえ感じられることだった。

二〇〇九年〇三月二六日(木)

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