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詩

家に帰ると

家に帰ると、セジービャはもう布団から出た後だった。
ケドマポミオが部屋の空気に意識をやると、裏庭へ続く扉のカーテンが半開きになっていた。外を見ると、畑で食材を探している寝起きのセジービャの後ろ姿があった。
ケドマポミオはしばらく言葉をなくし、その様子を見ていた。
セジービャの肩に、黒い小さな虫がとまったが、セジービャは気付かなかった。
日差しが彼女に降り注いでいる。
ケドマポミオはおもむろに、ガラス戸を人差し指の裏でトントンと叩いた。
セジービャはその音に気付き、一瞬だけ動きを止めて、肩を上げた。
その動作を受け、止まっていた小さな虫は飛翔し、手つかずの空へ昇っていった。
セジービャはバースデーケーキのキャンドルに照らされた無垢な子供の笑顔を浮かべながら、ケドマポミオの方へゆっくりと上半身を開いた。つられてケドマポミオも小さく笑顔を返すと、セジービャは泥のついたキャロトを顔の横まで持ち上げて、左右に振った。
それは、これを今から調理して食べようというサインだった。
ケドマポミオは、反射的に左手の親指をグッと上げ、キッチンへ向かい、ナベに水を張った。
そして、その一連の動作の途中で胸に込み上げてくる感情を奥歯で噛み殺し、「絵を描こう」と誰にともなく誓った。

二〇〇九年〇八月二四日(月)

家に帰ると

家に帰ると、セジービャはもう布団から出た後だった。
ケドマポミオが部屋の空気に意識をやると、裏庭へ続く扉のカーテンが半開きになっていた。外を見ると、畑で食材を探している寝起きのセジービャの後ろ姿があった。
ケドマポミオはしばらく言葉をなくし、その様子を見ていた。
セジービャの肩に、黒い小さな虫がとまったが、セジービャは気付かなかった。
日差しが彼女に降り注いでいる。
ケドマポミオはおもむろに、ガラス戸を人差し指の裏でトントンと叩いた。
セジービャはその音に気付き、一瞬だけ動きを止めて、肩を上げた。
その動作を受け、止まっていた小さな虫は飛翔し、手つかずの空へ昇っていった。
セジービャはバースデーケーキのキャンドルに照らされた無垢な子供の笑顔を浮かべながら、ケドマポミオの方へゆっくりと上半身を開いた。つられてケドマポミオも小さく笑顔を返すと、セジービャは泥のついたキャロトを顔の横まで持ち上げて、左右に振った。
それは、これを今から調理して食べようというサインだった。
ケドマポミオは、反射的に左手の親指をグッと上げ、キッチンへ向かい、ナベに水を張った。
そして、その一連の動作の途中で胸に込み上げてくる感情を奥歯で噛み殺し、「絵を描こう」と誰にともなく誓った。

二〇〇九年〇八月二四日(月)

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