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詩

本から目を離さずに

本から目を離さずに、ローデンダッチは教室に入ってきた。
パトムはいつの間にか廊下に出て後ろのドアに回り込んでいて、「よろしく!」と叫びながらローデンダッチの背中に飛び乗った。
ローデンダッチは勢いに押され一瞬よろめいて、ガシュットントの肩に手をつき体勢を元に戻し、パトムを背中に乗せたまま「よーろーしーくー」とその場で回りだした。
手に持っていた『珍獣百科』というタイトルの本を、回りながらガシュットントに「頼んだ!」と預けて、そのままニックタックが座っている辺りまで教室の後ろのスペースをハリケーンのように移動すると「来るぞ!」とヨーテルマールが叫び、「あぶね!」と笑いながらニックタックはローデンダッチのお尻にタックルをして、そのまま三人、床の上に倒れ込んだ。
すかさずヨーテルマールはストーブの上から「キュノヨー!」と奇声混じりのダイビングをして一番上になっていたパトムの背中に飛びつき、四人はもみくちゃになりなりながら、互いの体をくすぐり合った。
中でもパトムはくすぐったがりだったから群を抜いて大きな声で騒いだことが理由で、もともと無目的にくすぐり合っていたはずの四人の標的はパトムに集中していって、秒単位でその状況は進行していき、パトムはいつのまにか笑うというよりもヒィヒィと咽ぶように身をよじっていた。

ことの成り行きを見ながら、ガシュットントはローデンダッチから受け取った『珍獣百科』をペラペラとめくり『イッカクシロナガジュダイ』という海洋棲ホ乳類を見て「すげー」と呟いたが、その声は誰も聞いていなかった。

二〇〇九年〇三月二五日(水)

本から目を離さずに

本から目を離さずに、ローデンダッチは教室に入ってきた。
パトムはいつの間にか廊下に出て後ろのドアに回り込んでいて、「よろしく!」と叫びながらローデンダッチの背中に飛び乗った。
ローデンダッチは勢いに押され一瞬よろめいて、ガシュットントの肩に手をつき体勢を元に戻し、パトムを背中に乗せたまま「よーろーしーくー」とその場で回りだした。
手に持っていた『珍獣百科』というタイトルの本を、回りながらガシュットントに「頼んだ!」と預けて、そのままニックタックが座っている辺りまで教室の後ろのスペースをハリケーンのように移動すると「来るぞ!」とヨーテルマールが叫び、「あぶね!」と笑いながらニックタックはローデンダッチのお尻にタックルをして、そのまま三人、床の上に倒れ込んだ。
すかさずヨーテルマールはストーブの上から「キュノヨー!」と奇声混じりのダイビングをして一番上になっていたパトムの背中に飛びつき、四人はもみくちゃになりなりながら、互いの体をくすぐり合った。
中でもパトムはくすぐったがりだったから群を抜いて大きな声で騒いだことが理由で、もともと無目的にくすぐり合っていたはずの四人の標的はパトムに集中していって、秒単位でその状況は進行していき、パトムはいつのまにか笑うというよりもヒィヒィと咽ぶように身をよじっていた。

ことの成り行きを見ながら、ガシュットントはローデンダッチから受け取った『珍獣百科』をペラペラとめくり『イッカクシロナガジュダイ』という海洋棲ホ乳類を見て「すげー」と呟いたが、その声は誰も聞いていなかった。

二〇〇九年〇三月二五日(水)

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