去年だか一昨年(思いっきりコロナ禍)、俳優の後藤から唐突にLINEがきて「眼鏡の展示会行きませんか?」と誘われ、何か相談でもあるのかと表参道まで赴き、カフェでお茶をしつつ互いの近況報告などをしていたら、本当に眼鏡の展示会だけの誘いであることに薄々気が付き、興味は「なんで俺をこのタイミングで眼鏡の展示会に誘ったんだろう」という方に移っていった。後藤は、見てくれが厳つくて声がめちゃマイルドという特異な身体を持つ俳優で、決して器用ではないけれど後藤にしか出せない味があって、ちょうど会ったくらいの頃から遽にブレイクしていた(印象)。これまで仕事的なことも若干の絡みしかなく、そこまで密な季節を過ごしてきた訳でもない俺を、なぜ、ただの眼鏡の展示会に誘い出したのか最後まで判明しなかったけどその全部が興味深く、買うつもりもなかった眼鏡を一つ買うことでこの一連に引っ掛かりを残すことにした(実際数年経ったのに雑記にかけるほど!)。
んで、いつも行く眼鏡屋が上原にあり、表参道のそこ(AYAME)で買った眼鏡(オリーブ色のブロウタイ)のレンズを入れてもらおうと思いつつ、気がつけば一年以上経っていた。上原の眼鏡屋店主のタクヤを町で見かける度に「今度レンズ変えに行くからー」というやりとりを恐らく4、5回はしていて、ついに行けたのが先週の火曜日のこと。というのも、この四月に逗子のサーファーズに打ち合わせでいった時に買ったサングラスが良くて、いつも旅先で露天で売ってるような激安のばかりかけていたので、その違いにやっぱ良い物は違うなぁとなり(1万円しないくらいだったけど)、普段かけられるような新しいサングラスを買おうと思っていた。火曜、打ち合わせ終わりで瑛人に付き合ってもらって「どれがいい?」って聞いても「どれもめっちゃいいっすよ」としか言ってくれなくて(たぶんほんとに思っている)、今日、この後奈歩と会うことになっていたから早めに落ち合って、レンズ変えがてら、新しいサングラスを見立ててもらった。ところで今日の雑記、英語で書いたらめちゃ英語力上がりそう。
夜、俳優でありスタンダップコメディアンの清水宏さんが中延にある隣町珈琲にて定期開催している「スタンダップコメディ大学」に有希子がトークゲストで出るという流れがあり、奈歩と何と観にいった。当初、有希子は「私に努まるだろうか」と参加するか悩んでいたのに前回の開催を一緒に観た後、清水さんからの直接のオファーをその場で「やります」と受けていた。今回は源氏物語をダイナミックに解説する(ダイナミックなのはいつも)という回で、女流作家(今じゃ「女流」と言わないらしい)繋がりが後押ししたのかしら。それにしても清水さんはすごい。エネルギー一発で舞台に上がり、取り扱うネタがなんであれ清水宏の時間を作り上げ、終わった後に生命力みたいな生物の尊厳みたいなものがほのかに余韻する。「とある物語」に出演してもらった時も、そのエネルギーに本当に助けられた。それから登壇した有希子も颯爽としていて、本谷有希子だった。いつも家ではポンコツなことばかり言っているのに、人前に出ると「おお〜」ってこと言えるのなんでだろう。端的にカッコ良かった。みんないろんなとこにスイッチがあって、人知れずオンオフしながら生きてんだろな。バカになったスイッチ、個人的には好きだけど、そこには一定の生きづらさがある。生きづらさと、最終的にたどり着ける平安の兼ね合いについても、このところよく思う。それはまぁ別の話、今日の雑記とは。
そうそう、トーク中、有希子が「創作に於いて人間の価値はノイズを生み出すことに特化されていくのでは」的なことを、ノイズ人間代表みたいな清水さんに真剣に話しているのが面白くて、隣で観てる奈歩に「ウケるね」みたいなこと言ったら「尊いなぁ」って呟いていた。言葉が正確な人って付き合いやすい。何はずっとブックオフで買った漫画読んでた。