免許の実技試験に合格した。同乗した二人は落とされてたな。そのことについて考えているんだけど、受験した三人が受かるのと俺だけが受かるのと、いったいどっちの方が嬉しかったんだろう。なんとも複雑な思いだから、一人だけ落とされるくらいが一番落とし所としては良かったのかもしれない。なんにしても「合格です」って言われた時の嬉しさったら、例えとしてなかなか思い出せることがないくらいグワッと胸を掴まれるようだった(実際、膝の力が抜けた)。しないけど、もし、今回もダメだったら、もう免許いらないかもとも思っていた。朝早く起きて、満員電車に乗って、退屈な講義、繰り返される説明、煩雑な手続き、その拷問のような工程に俺の体はアレルギーが出るほどの拒絶を示していて、ただもう精神を乖離させて全てを客観的に受け入れるしかなかった。とはいえ、今となって言えることだけど、今回の諸々の顛末はあるべくしてあったのだと思う。良かったとさえ思っている。実社会で生きるってことを突きつけられた気がする。今後、どのような選択をするかは別として。